2010年10月18日

フランス料理の歴史(4)

日本の懐石料理を取り入れたフランス料理が「ヌーベル・キュイジーヌ」と呼ばれて世界中に広まり話題となりました。今回は、その後のフランス料理がどうなったかのお話ですね。




西暦でいいますと1980年代に入ってからの事となります。この年代になるとまたもや、新しいタイプのフランス料理が出現してきます。




もちろん、この時にもオーギュスト・エスコフィエの精神を受け継ぎながら、アラン・デュカス、ジョエル・ロブション、ピエール・ガニェール、ベルナール・パコー、ベルナール・ロワゾーらのシェフが「キュイジーヌ・モデルヌ」と呼ばれるさらに新しいフランス料理を創造しました。キュイジーヌ・モデルヌとは、日本語に訳せば現代的なお料理という意味になります。




ヌーベル・キュイジーヌの後、新しいものと古いものの良い部分を同時に取り入れようとした料理のあり方とでも言えば良いでしょうか。クラシックな技法のもとに成り立つ、現代感覚の料理のことを言います。




このような料理法の発達に伴い、マナーや食器類などもだんだんと洗練されてきました。味の良し悪しを批評する職業まで生まれましたし、19世紀の前半には、本来、政治家であるブリア・サヴァランが「美味礼讃」を著しまして、美食学と美食文学の伝統を確立したりもしました。




そして、現在に至りますが、「ミシュランガイド」や「ゴー・ミヨ」など、レストランの格付けを行うガイドブックが発行されるようになりましたね。ざっとではありますが、フランス料理にはこのような歴史があり、現在に至っています。




何も知らないでフランス料理を食するのと、ちょっとした歴史を知った上で食するのとでは、味わいにも違いが出るかもしれませんよ。
  

コックさんが使ってるフライパン



Posted by てこちゃん  at 13:23Comments(0)フランス料理の歴史

2010年10月17日

フランス料理の歴史(2)

前回に引き続いて、フランス料理の歴史についてお話してゆきます。フランス料理が現在のように一品ずつ提供されるロシア式サービスになったところまでお話しましたから、今日はその後のお話です。




フランス料理のバイブルとまで言われている「Le Guide Culinaire(料理の手引き)」を刊行した、オーギュスト・エスコフィエというシェフが、その後のフランス料理の流れを作ってゆきます。オーギュスト・エスコフィエは、現在でもフランス料理を発展させてきた重要なリーダーとして、シェフや食通たちの間で偶像視されているほどの人物です。




彼が築いたフランス料理における技法の多くは、フランス料理の創始者として知られている、アントナン・カレームの技法を基礎としています。オーギュスト・エスコフィエの最大の功績と言えるのは、アントナン・カレームの技法を基礎としながらも、彼が築き上げた非常に精巧で装飾的な意味合いある濃厚なお料理を単純化して、それらの調理法を体系化する事により、フランス料理現代化の先鞭をつけたことにあると言えるでしょう。




そしてその後、フェルナン・ポワンやアレクサンドル・デュメーヌといった優秀なシェフらが、オーギュスト・エスコフィエのフランス料理を受け継ぎつつも、さらに時代に合ったお料理へと改良してゆきました。途中、フランス料理はイタリア料理やスペイン料理、モロッコ料理、トルコ料理などに影響を受けてきました。




そして、1970年代に入ると、ついに日本のお料理にも影響を受けるのです。その辺の詳しいお話は次回に回すといたしましょう。
  

コックさんが使ってるフライパン



Posted by てこちゃん  at 14:32Comments(0)フランス料理の歴史

2010年10月10日

フランス料理の歴史(1)

前回まで2回にわたって、フランス人の食生活についてのお話をしてまいりましたね。一般的なフランス人の食生活がどのような感じであるのか、わかっていただけたと思います。




それで、今回はいよいよフランス料理というものの歴史について語ってみたいと思います。フランス料理は、ごく最近になって確立されたお料理ではありません。




しっかりとした長い歴史のあるお料理ですから、その間に徐々に変化もしてきています。どのように始まり、現在のフランス料理になるに至ったかを、簡潔にご説明してゆきましょう。




まず、フランス料理の始まりですが、フランス人の食生活の記事でも少しふれました、当時のフランス王であったアンリ二世と結婚するためにイタリアから来たカトリーヌ・ド・メディシスと、一緒に連れてきた専属料理人によってもたらされたと言われています。その後フランス料理は、ブルボン王朝最盛時代に発達してゆき、ドイツやロシアなどの国外へも広まってゆきました。




フランスの一般市民の口に入るようになったのは、フランス革命の後、宮廷に料理人として勤めていた人々が、解雇されるようになり、街のあちらこちらでレストランを開業するようになってからのことです。この頃にはまだ、フランス料理は現在のようなコース料理にはなっておらず、全てのお料理をテーブルに並べて食す形式だったそうです。




現在のように一品ずつお料理を出す形式のことを、ロシア式サービスと呼びますが、この形式になったのは、19世紀に入ってからのことでした。シェフのアントナン・カレームとその弟子たちによって、ロシア式サービスに改革されました。




ロシア式サービスには、お料理を冷まさせないという大きな利点があったからです。
  

コックさんが使ってるフライパン



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2010年09月19日

フランス料理の歴史(3)

前回からの続きのお話です。実はフランス料理は、日本のお料理の影響も受けているというところからでしたね。




実際、その通りなのです。1970年代に入ってからの事ですが、日本の懐石料理をこれまでのフランス料理に取り入れたのです。




たとえば、決して濃厚ではない軽いソースですとか、新鮮な素材を活かした調理など、それまでとは異なった新しい料理を創造したわけです。ゴー・ミヨがこの新しいフランス料理を「ヌーベル・キュイジーヌ」と呼んで、それが世界中に広まり話題になりました。




「ヌーベル・キュイジーヌ」・・・聞いたことはございませんか。日本のエッセンスを取り入れたフランス料理のことですから、ぜひ覚えておきたいですね。




ちなみにゴー・ミヨというのは、人の名前ではありません。料理評論家のHenri Gault(アンリ・ゴー)とChristian Millau(クリスティアン・ミヨ)によって書かれた、レストランガイドのことを言います。




ミシュランのような物ですね。フランスで最も強い影響力を持っています。




ミシュランのほうは販売部数で勝っていますが、ゴー・ミヨのほうはお料理の質を純粋に評価することを方針としており、潔癖さにおいては、ミシュランよりも勝っているとの評判があります。実際、掲載するレストランから掲載料金を貰っていないことが、より信頼性の高いガイドブックであることを証明しているということになりましょう。




フランス料理について詳しくなりたいのであれば、ゴー・ミヨも、是非とも覚えておきたいですね。
  

コックさんが使ってるフライパン



Posted by てこちゃん  at 18:23Comments(0)フランス料理の歴史