2010年10月18日

ナイフとフォークを使用する習慣

欧米の国々では、一般的に食事をするとき、ナイフとフォークを使用しますが、フランス料理のナイフとフォークときたら、数がたくさんありすぎて、どれをどのお料理に使ったら良いのか、チンプンカンプンだというかたも多いでしょう。基本的に、お料理が運ばれてくるたびに、外側から使ってゆくと覚えておくと少しは気がラクになるかと思います。




ところで、このように、一人がナイフとフォークをひとつずつ持って食事をするという習慣は、いったいいつ頃から始まったのでしょう。オードブルに始まり、メイン、デザートまで一皿ずつサービスされる方式をロシア式サービスと呼ぶのでしたね。




このロシア式サービスが定着したのは、18世紀に入ってからの事なのですが、それより以前は出されるべき全てのお料理が一度に食卓に並べられて、大きな魚や肉の塊は、食卓に置かれている調理用ナイフを使って切り分けていたようです。それが、やがてそれぞれに自分専用のナイフを持って食卓に着くようになったわけです。




とくに男性のかたは、自分専用のナイフで隣の席の女性に切り取ってあげるのが、イイ男の証とされていたのです。しかしまだ、この頃には、切り分けたものを手で食べていました。




ソースやスープなどの液体は、パンをちぎって浸して食べていたようですね。手が汚れた場合には、ナプキンやテーブルクロスで拭うというのが普通でした。




このような形で食事を進めていましたから、当時のフランス料理のマナーとしてもっとも大切なことは、とにかく手を清潔にするということであったのです。ロシア式サービスになってからは、各自でナイフとフォークが必要になりました。




そして一人でナイフとフォークをいくつも使うような形式になってから、手の清潔よりも、ほかの部分にマナーの重きが置かれるようになりました。
  

コックさんが使ってるフライパン



Posted by てこちゃん  at 13:21Comments(0)食前マナー

2010年10月17日

フランス料理の歴史(2)

前回に引き続いて、フランス料理の歴史についてお話してゆきます。フランス料理が現在のように一品ずつ提供されるロシア式サービスになったところまでお話しましたから、今日はその後のお話です。




フランス料理のバイブルとまで言われている「Le Guide Culinaire(料理の手引き)」を刊行した、オーギュスト・エスコフィエというシェフが、その後のフランス料理の流れを作ってゆきます。オーギュスト・エスコフィエは、現在でもフランス料理を発展させてきた重要なリーダーとして、シェフや食通たちの間で偶像視されているほどの人物です。




彼が築いたフランス料理における技法の多くは、フランス料理の創始者として知られている、アントナン・カレームの技法を基礎としています。オーギュスト・エスコフィエの最大の功績と言えるのは、アントナン・カレームの技法を基礎としながらも、彼が築き上げた非常に精巧で装飾的な意味合いある濃厚なお料理を単純化して、それらの調理法を体系化する事により、フランス料理現代化の先鞭をつけたことにあると言えるでしょう。




そしてその後、フェルナン・ポワンやアレクサンドル・デュメーヌといった優秀なシェフらが、オーギュスト・エスコフィエのフランス料理を受け継ぎつつも、さらに時代に合ったお料理へと改良してゆきました。途中、フランス料理はイタリア料理やスペイン料理、モロッコ料理、トルコ料理などに影響を受けてきました。




そして、1970年代に入ると、ついに日本のお料理にも影響を受けるのです。その辺の詳しいお話は次回に回すといたしましょう。
  

コックさんが使ってるフライパン



Posted by てこちゃん  at 14:32Comments(0)フランス料理の歴史